中古車トラブル事例 - 隠れた瑕疵(かし)

Aさんが販売店から買った自動車に、次のような問題点が引渡しを受けたあと発見された場合、Aさんは自動車を販売店に引取ってもらい、代金の返還を受けられるでしょうか。
また、損害賠償を請求することができるでしょうか。

設問1.

排気量1800ccということで購入したのに、実際は1600ccだったとき。

設問2.

塗装が再塗装であったとき。

設問3.

エンジンの調子が悪く、なんど修理してもらっても良くならないとき。

設問4.

フロントガラスに傷がついているのが発見されたとき。

設問1について

自動車のエンジンの排気量が実際にいくらなのか、一般人は容易に確認することはできないでしょう。
したがって、1800ccだと思った購入車の排気量が1600ccだったということは隠れた瑕疵に当ります。
そして、1600ccのエンジンの自動車はどのようにしても1800ccの自動車にはなりませんから、Aさんは、1800ccのエンジン付きの性能を持つその自動車を手に入れるという契約の目的を達成できないことになります。
以上のことから、Aさんは、売買契約を解除して、自動車の引取りと代金の返還を販売店に請求することができます。

設問2について

Aさんが新車の時のままのものであると思った塗装が再塗装されたものであったということは、やはり隠れた瑕疵に当るでしょう。
しかし、再塗装されたものであったことによって、Aさんが「その自動車を購入した目的を達成することができなくなった」とするには疑問が残ります。
再塗装を必要とした原因がなにかにもよりますが、一般的には、特定の車両状態を表示した書面などによって説明された品質、性能をその自動車が備えていれば、たとえ再塗装された自動車であっても、Aさんがその自動車を購入した目的は達せられたと見るのが相当だからです。
そうだとすれば、Aさんは、契約を解除することまではできず、損害賠償のみができることになります。
その場合の損害がなにかもまた問題ですが、再塗装車であることによってその自動車の通常の取引価格がAさんの実際の購入価格より安くなる場合には、その差額をAさんの損害とすることができるでしょう。

設問3について

なんど修理してもエンジンの調子が良くならない自動車は、もともと通常の運行に供することが不適当な自動車というべきですから、その自動車には本来有すべき品質、性能を欠いた瑕疵があるというべきであり、かつ、購入者はそれによって契約の目的を達成することができないことになります。
したがって、Aさんは契約を解除することができます。

設問4について

フロントガラスの傷は、特に専門知識がなくてもちょっと注意を払えば一般人でも発見が可能です。
したがって、購入にあたってこれを見逃したことはAさんの過失です。
ですから、Aさんは、そのことを理由に契約解除や損害賠償請求をすることはできません。

<基礎知識>

-特定物の売買と隠れた瑕疵(かし)-
売買の対象とされた特定の物に発見された、取引きの時には分からなかった傷や欠陥のことを「隠れた瑕疵」といいます。
ところで、取引きの対象物に代替性のある場合なら、引渡されたものに隠れた瑕疵が発見されたときには、買主は代りの別の物の引渡しを売主に要求すれば良いのですが、対象物が初めから特定の物である場合には、買主は売主に交換を要求して最初の注文どおりの物を手に入れることができませんので、結局、損害賠償か契約の解除によって事態を解決するしか方法はありません(民法570 条、566 条)。
そして、中古自動車は、新車とは異なり一物一価であることから、その取引きにおいては原則として代替性はありませんので、売買された中古自動車に隠れた瑕疵が発見された場合には、この方法によって問題を処理することになります。

-契約解除が認められる場合-
売買の対象となった特定物に隠れた瑕疵があり、それによって契約をした目的を達成することができないときは、買主は契約を解除し代金の返還を求めることができますが、瑕疵がその程度に至らないときは、買主は損害賠償の請求しかできません。

-「隠れた」瑕疵であること-
契約の解除や損害賠償請求ができる瑕疵は「隠れた」もの、すなわち、買主が通常の注意を用いても発見できないようなものであることを要します。
いいかえれば、買主は、自分の不注意で見逃した瑕疵については、後にこれを理由に損害賠償や契約解除を請求することはできません。