中古車トラブル事例 - メーター巻き戻しの疑い

Aさんが販売店から買った自動車には、走行距離が3万キロのメーター表示がされていましたが、実際の走行距離は6万キロであることが判明しました。

設問1.

Aさんは自動車を販売店に引取ってもらい、売買代金の返還を受けられるでしょうか。また、損害賠償を請求することができるでしょうか。

設問1について

メーターの巻戻しによって実際は6万キロの走行経歴を持っていたという隠れた瑕疵がこの自動車にはあり、かつ、Aさんは、3万キロしか走っていない品質、性能をその車に期待するという契約の目的を達することができないのですから、販売店は瑕疵担保責任を負い、Aさんから契約を解除され、代金の返還ならびに登録の費用や保険料をAさんから支出しているときはその賠償を請求されることになります。
ただし、Aさんはメーター巻戻しの事実を知ってから1年以内にこの請求をしなくてはなりません。
また、Aさんは錯誤による契約の無効を主張することもできます。

<基礎知識>

-隠れた瑕疵-
走行メーターの表示が過去の実際の走行距離と合致しているかどうかは通常人が容易に知り得ることではありません。
このように、売買の対象となった特定物に(中古自動車は、新車と異り一物一価であることから、全く同じ程度の別な物を手に入れることはできませんので、原則として代替性はなく、したがって、その売買は特定物売買にあたります)買主が通常の注意を用いても発見できないような欠陥があった場合、その欠陥のことを「隠れた瑕疵」といいます。
契約解除が認められる場合売買の対象となった特定物に隠れた瑕疵があり、それによって契約をした目的を達成することができないときは、買主は契約を解除し代金の返還を売主に求めることができます(これを売主の瑕疵担保責任といいます)。
メーターの巻戻しによって本当の走行距離が隠された自動車では、偽りのメーター数が表しているような性能、価値を持つことができません。またメーターの巻戻しに気が付かなかったお客に不注意があったということもできません。ですから、メーターの巻戻しが発見された場合には、買主は契約解除・代金返還請求などができるのが原則といえます。

-要素の錯誤-
自動車の売買契約に「要素の錯誤」があった場合、錯誤に陥って契約した当事者は契約の無効を主張することができます(民法95条)。要素の錯誤とは、それがなかったら契約締結をしないのが通常であろうと考えられる程度の重要な契約内容についての思い違いのことをいいます。
自動車の走行距離は性能、価値を表す重要な指標ですから、それについての思い違いは要素の錯誤にあたるといってよいので、巻き戻されたメーターの表示によってその自動車の実際の走行距離を思い違いした買主は、契約の無効を主張できることになります。