循環型経済システムと自動車
現在の経済社会は、大量生産、大量消費、大量廃棄が前提となっていますが、環境や資源・エネルギーに限りがあることを考えると、将来にわたり安全で質の高い生活を維持し、健全な経済・産業活動を営む上で、大きな制約となる可能性が高くなっています。
こうした将来にわたって増大する制約に対処するためには、環境問題や資源・エネルギー問題への対応を経済社会にとってのコストとしてのみとらえ、問題が顕在化する個々の分野が現れる度に、必要な取組みを行うという対応になりがちであった従来の考え方から転換しなければなりません。あらゆる分野において技術的・経済的に可能な最大限の取組みが検討され、実施されることを基本に、取組みの優先度、関係主体間の役割分担、政策手法の選択についての考え方を明確にする必要があります。そして、その考え方のもとで自動車分野における最も実効性の高い取組みが具体的に行われなければなりません。
その際、技術的・経済的なフロンティアを拡大する努力を社会全体として行うことにより、今後21 世紀に向けて、環境と経済とが相克するものではなく、経済活動のあらゆる面で、環境制約や資源制約への対応が図られる、すなわち、環境と経済とが統合された「循環型経済システム」を構築していくことが重要です。
循環型経済システムの構築に当たっては、従来のリサイクル( 再資源化) の取組みのみならず、リデュース( 廃棄物の発生抑制=省資源化、長寿命化、リペア)、あるいは、リユース(再使用)といった手法を加えた、いわゆる3R(リデュース、リユース、リサイクル) を促進し、合わせて、国民のライフスタイルを根本的に変革していくことが必要です。
中古車は、リユース( 再使用) の中でも「製品利用」の代表格といわれ、すでに国民生活に馴染んでいますが、今後も、廃棄される廃棄物の減量化の観点から安易に中古車を廃棄せずに、一定の品質保証・適正な価格設定を行うなどに努め、更なる中古車市場の拡大に努めることが求められています。