中古自動車売買に関する基礎知識
自動車業界における契約の成立
売買契約の成立はいつになるのでしょうか。先に述べたとおり民法522条によると口頭でも売買契約は成立しますが、現代の自動車売買においては書面を作成して適切な内容で注文書を作成することが一般的となっています。口頭での契約の場合は時間の経過によって記憶違いや詳細を失念する可能性がありますが、書面にすることでそのようなトラブルを未然に防ぐことができますし、トラブルから裁判になった際、契約内容の証拠書類として活用することもできます。
なお、注文書の記載項目や金額が印刷であろうと手書きであろうと問題ではありません。契約の成立については、その書面から契約の成立時期が読み取れる内容が記載されているかどうかが重要なポイントとなります。ほとんどの注文書には契約の成立時期について条文があり、その条文の記載のとおり契約は成立します。
自動車業界における標準的な契約の成立時期は以下のとおりです。
【契約の成立時期】
- ① 購入者の名義に変更登録がなされたとき
- ② 販売者が購入者の依頼に基づく修理改造架装に着手したとき
- ③ 車両が購入者に引き渡されたとき
なお、割賦販売、立替払付販売等のクレジット契約の場合は、これらの書面に定められている日に契約が成立します。
したがって、標準約款ではクレジット契約が成立しなければ、売買契約も未成立となります。
一方で、仮に契約の成立についての条文が無かった場合はどのように判断するのかは、当事者の合意があったといえるのかが判断基準となります。一般的な売買は諾成契約であることは説明しましたが、「購入の申込み」と「販売の承諾」が一致し合意がなされて契約成立となります。よって、販売店が作成した注文書に署名捺印した場合には契約成立とみなされることもあります。注文書を作成しなかった場合や見積もりのみの作成で書面への署名はないものの頭金や申込金の支払いがあることで購入の申込の意思表示があり契約が成立することを双方が合意したと判断されることもあるでしょう。条文に契約の成立時期についての記載がない場合は、あらゆる状況を総合して判断することになります。