中古車購入ノウハウ
価格の表示方法を確認
中古車を検討する上で重要な価格ですが、以下の2通りの表示方法があります。
1.車両本体価格(現金販売価格)
店頭において車両を引渡す場合の消費税を含めた現金価格
2.支払総額
「1.」の価格に保険料、税金、登録等に伴う費用等を加えた店頭納車の価格
中古自動車の売買には、ユーザーとの取引条件や契約車両の登録状況などによって、費用が発生する場合とそうでない場合があり費用に差が生じます。
たとえば、自動車の登録で、運輸支局まで自動車を持ち込まなければならない場合と書類だけで済むケースとでは登録に関する代行費用に差が生じます。
店頭納車では、納車に関する費用は請求できませんが、ユーザーの自宅まで届けるケースでは納車費用が発生します。このように、個々の契約によって費用の状況が異なるのに、あらかじめ諸費用や税金を合算して車両本体価格(現金販売価格)に上乗せして表示されている場合は、ユーザーは必要のない費用を請求されている可能性があるわけです。
また、諸費用や税金が合算されていると車両自体の価格が不明確になり、一般消費者が中古自動車を購入するにあたって価格を比較検討することが困難になります。
以上のことから、自動車公正競争規約では、諸費用や税金を含まない車両本体の現金販売価格を表示するよう義務付けてきました。
しかし、近年一部の事業者において、車両本体価格(現金販売価格)を相場よりも安く表示しユーザーを勧誘しておきながら、その後見積もりを作成すると諸費用が高額であったり、整備をしなければ販売しないという条件付きでその整備費用が別途必要であったり、また将来の整備費用を前払いするパック商品の購入を必須条件とするなどの商談が行われているようです。ユーザーがそのようなオプションは不要と伝えても強引に付帯させられてしまい、実際に購入する際に支払う総額は相場よりも高いといった販売方法は不適切ではないかといった声が上がっていました。本来、条件付き販売であれば、その条件に伴い発生する費用は、車両本体価格(現金販売価格)に含めて表示すべきです。
こういった販売方法を防止するため、店頭において車両を引渡す場合の消費税を含めた車両本体価格(現金販売価格)に、保険料、税金、登録等に伴う費用等を加えた価格を「支払総額」とする表示方法が、自動車公正競争規約施行規則に新たに設けられました。
「支払総額表示」を行う際は、上記の車両本体価格(現金販売価格)を併記するとともに、「支払総額には保険料、税金、登録等に伴う費用等が含まれている」旨、及び「当該価格は登録等の時期や地域等について一定の条件を付した価格である」旨を表示することにしています。
この「支払総額表示」は、ユーザーを欺くような価格表示や販売方法を未然に防ぐ効果があり、広告時の車両本体価格(現金販売価格)と実際に支払う際の総額との乖離を防ぐ手段といえます。
ただし、「支払総額表示」であっても、「定期点検整備なし」、「保証なし」のプランもあれば、「定期点検整備あり」、「保証付き」のプランであった場合もあります。「定期点検」及び「保証」については、付帯の有無によって商品価値が大きく異なるので、付帯内容をきちんと確認することが必要です。
なお、「支払総額表示」はその費用を支払えば購入できる費用であることを示したものですので、ユーザーが支払総額表示の内容以外に希望するものが無ければ、その他に購入しなければならないオプション費用等はありませんので、支払総額表示以外にオプション等が付帯されている場合は、不要であることを伝えましょう(「〇〇を付けていただかないと販売しません」などの販売方法は自動車公正競争規約違反となります。※)。
※公取協AFTC INFORMATION「中古車の不当な価格表示(整備や保証等の購入を強制、表示価格では購入できない)に対し「警告」の措置」 (PDF)