中古車トラブル事例
【相談内容】自動車重量税、自賠責保険及び自賠責保険料未経過相当額について
車検残のある中古車を契約する際、自賠責保険料は残存期間相当額を月割りで請求されるのに、自動車重量税がされないのはなぜですか。
また、「車検残付加価値」として請求されることはありますか。
【回答】
自賠責保険は登録を抹消すれば残存期間分の保険料が返還されるという仕組みであり、車検期間満了までの未経過相当額は月割りで明示されていますので、販売者は経済価値がいくらかであるかを明らかにして車両価格とは別に「自賠責保険料未経過相当額」として請求することもできることになります。ただし、実際に保険料を納めるわけではありませんから「自賠責保険料」との表示をしてはならないとされています。
一方で、自動車重量税は使用済自動車として適正に解体され、その後永久抹消登録等がされた場合に限り、車検の残存期間に相当する自動車重量税額を還付することになりましたが、登録を一時抹消した場合の返還制度はなく、車検満了までの経済価値がいくらであるかといった明確な基準はありません。
したがって、すでに納付されている自動車重量税は、改めて支払わなくても良いことに伴う「経済価値」として車両価格に含めて請求されることになり、この「経済価値」は車両価格とは別に請求されることはありません。販売店が「車検残付加価値」と表示し車両価格とは別に請求することは、ユーザーに支払う必要のない費用を請求することになり不適切となります。
【解説】
自動車損害賠償責任保険
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は自動車重量税と同様、新規登録または車検を受ける際に、次の車検までの期間について加入契約を行うことになっており、自動車損害賠償保障法により自賠責保険が締結されていなければ運行の用に供してはならないとされています。
ただ、自動車重量税と異なるところは、登録を抹消すれば残存期間分の保険料は還付される仕組みとなっています。
自動車重量税
自動車重量税は、自動車が車検を受け、または届出を行うことにより走行可能になるという法的地位あるいは利益を受けることに着目して課税される一種の「権利創設税」です。新規登録の場合及び車検の都度、車両重量に比例して課税されます。一旦納税されるとたとえ車検有効期間中に抹消登録された場合であっても、抹消登録後の期間に相当する自動車重量税の還付は行われないことになっていましたが、2005(平成17)年1月より自動車リサイクル法施行に伴い、使用済自動車として適正に解体され、その後永久抹消登録等がされた場合に限り、車検の残存期間に相当する自動車重量税額を還付することになりました。
また、自動車重量税が納付されている自動車は、車検期間中に所有者が代わった場合でも、すでに「走行できる」という権利を与えられていますので、新しい所有者は改めて納税する必要はありません。
車検残のある中古自動車の売買
登録を抹消すると、その自動車を新たにユーザーに販売するには、①新規車検に伴う法定点検整備費用、②自動車重量税、③自賠責保険料などこれらの手続きに関わる手間と時間が必要となります。このため車検残のある中古自動車を売買する場合、登録を抹消せずに前述の手間と時間を省いて販売しているのが一般的です。